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能の面などで有名な「はんにゃ」です。
鬼と女性を足したようなお面ですね。
石燕氏の文章には、『源氏物語』の六条の御息所が出てきます。
高貴な身分の方なのですが、源氏の君を愛するあまり生き魂になって、
夕顔や葵の上をとり殺し、本人が亡くなった後も
女三宮を出家させたり、紫の上を一度死にかけさせたり、
とまぁ女の執念の固まりといった感じです。
上村松園の『焰』という絵にも般若のような顔で描かれています。
妖艶でいて怖い、そんな絵です。
ですが、私には源氏の君の鬼(後ろ暗い?)の部分を
六条の御息所が背負っている感じがします。
彼に恋い慕われた夕顔は体が弱いのに外に連れ出されて亡くなったし、
彼と不仲だった葵の上は産後の肥立ちが悪くて亡くなっています。
彼に全く愛されなかった女三宮が出家したのは、柏木との間に
不義の子供ができたせいですし、紫の上は彼が女三宮を北の方に
してしまったことによって、心弱りをして病気になったのです。
そんなことのために般若にされてしまったが彼女が可哀想だと思います。
『源氏物語』は男性社会に翻弄されながらも、
賢名に生きる様々な女性の姿を読むと良い本です。